兵庫県 平成14年度 公立学校教員採用試験 一般教養問題
(60分)

問題1
聞き取りテスト(試験開始3分後に放送を始めます。)
(セミの声がうるさかったので採点されず。)

問題2
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

 @虹にはいくつの色があるかと日本人に尋ねれば、七に決まっているさという答が返っ
てくるだろう。だが世界のいろいろな言語を視野に置くと、この問いに対する答は実は思っ
たほど簡単ではないのである。(中略)

 空にかかる美しい虹の色の数は言語により異なるのだ、ということを知っている人は今
でも少ない。A外国語を長年研究している人は言うまでもないが、自然科学が専門の学者
でも、この事実を知らない人の方が普通である。たとえば物理学者の櫻井邦明氏は、米国
に研究のため長年滞在された方だが、偶然のことからアメリカでは虹は六色とされている
ことに初めて気付かされたいきさつを『「考え方」の風土』の中でおもしろく述べられて
いる。

 さてBこのことは、それ自体が大変興味ある言語社会学的な問題であると同時に、私た
ち人間にとっては客観的なC自然・物理現象の認識ですら、しばしば自分の言語つまり個
別文化に内在する制約から、完全には自由であり得ないことを教えてくれる。

 外国語の学習というものは、―般に考えられているような、単に同―の対象(もの、こ
と)に D恣意的に付けられた異なる名称(シノ二ム)を覚えるという作業以上のものなの
であり、難しく言えば、与えられた世界を人がどう認識するのかという深い問題につなが
る側面を持っている。

 現在のように地球が狭くなり、それぞれ異なる言語を用いる人々の相互交流が、昔と違っ
て飛躍的に増大し始めると、異言語間の翻訳や通訳に要する労カや費用は E
大なもの
となる。(中略)しかも必要とされる外国語が、人により国により必ずしも―つとは限ら
ないという状態は、現代人にとってまことに頭の痛い問題である。

 そこで誰しも考えることは、数千にものぼる自然言語とは別に、もし単一の世界共通語
があったらどれほど楽か知れない、ということであろう。

 しかし人類全てに共通する世界語の創造という課題は、その達成に際しての実際的な困
難はもちろんだが、実は言語そのものの本質からいって、理論的にF矛盾する内容を含む
ために、G実現不可能な夢なのである。

 何故かと言えば、世界の言語を統―するためには、その前に私たち人間の世界認識を統
一的に決定しなければならないからである。仮に―つの人工言語なり、あるいは自然言語


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