教育実習反省録

2002/10/21公開
2004/03/18追加(実習録の原文より、一部だけ変えているところがあります。)

1.教育実習中に深く考えた教育の問題点

 実習では、本当にいろんな子どもがいて、その個性・個人差というものが多様であり、ひらきがあることを実感した。
個にあった教育を考えていくとき、教師には日常すすんで児童と関わろうとする姿勢や、いいところも悪いところもひっくるめてよく観察する眼、そして少しのつぶやきや表情の変化も見逃さずたえず変化していく子どもたちに対応できる柔軟さが求められるのだなと思った。

 そのことはとりわけ、私が国語や道徳の実習授業をするときに強く感じた。
 3年生の子どもたちは、まだ言語による的確な表現が十分にできない。
 ということは、教師は子どもが言おうとしていること、心の中の言葉にならないことを機敏に感じ取って「こういうことかな」と表現を助けてあげたり、また表現すること自体への意欲をもてるように「よく言えたね」「よく発表しようとしてくれたね」といった評価を、完璧にできたことへの評価ではなく、はじめの第一歩を踏み出せたことへの評価をしていかなければならない。

 ところがこのようなことが一朝一夕にできるわけではないところが、教育の難しさであり奥深さである。
私の授業でも、反省をすぐさま次の授業に生かす、ということがなかなかできない。
今まで、テキストや聞いた話だけの勉強であれば、例えば全部の子どもたちの変化を教師が受け止められているか確認するために、毎時間カルテをつけるとよい、ということを知って、「そうなんだな」と思っていた。ところが実際には授業をしながらカルテをつけるというのは至難の業であり、記録どころかただ子どもの顔を見回すということさえ、なかなか余裕をもってできるものではなかった。
 一斉授業でもこのように「やろうと思ってもなかなかできない」ことが山積みであるのに、「児童の主体性を重視し活動内容がより柔軟になってくる「総合的な学習」などでは、教師のできることの限界がよりはっきりと感じられるようであった。

 教師に求められるレベルは高く、際限がない。
場合によっては1人のがんばりではどうしようもないことが多々ある。
そのために、教員間の連携・協力や校外との協力も必要になってくる。


2.教育実習中に受けた指導全般についての反省

(1) 1授業45分間に多くのことをよくばりすぎない

教案の最後まで予定通り進行したことはまれであり、多くは途中で時間切れになった。
特に、児童の話し合いや作業がある程度スムーズにいくことを見込んで指導案を書いていたところが、見事に見積もりを裏切られ、多くの時間を費やすことになった。
 主とすることにしぼって、よくばりすぎず、うまくいかない場合の時間配分で予定を立てるべきであった。

(2) 教師の空回りで児童もおいてけぼりにすることがある

例えば児童に出させたい答えに固執して発問を連発したり、同じことを何度も言って教師としては「ていねいな指導だ」などと思っていても、児童は退屈してしまっていたりする場合。逆にはやく次へ進みすぎてわからないまま授業に参加できなくなっていく児童を生む場合。
これらは、児童の視点で教師である自分自身を見ることができていないからだと思う。
そのためには余裕を持つことが大事で、余裕を持つためには、事前のめんみつな教材研究とシミュレーションが大事だ。

(3) 板書がぶっきらぼうで、書き順のミスにも気づかない

事前の板書計画と、使用する漢字をしっかり辞書で確認し、書き順が違っていたら何度も練習して直すようにすることが必要だ。
習字教室で、ゆっくりゆっくり1字1字に心をこめて書くことを学びたい。

(4) もっと子どもの心に寄り添うこと

目を見る、傾聴する、顔で話す、評価を伝える ということをもっと意識しなければならない。
1人の話を聞くときに他の子のことを気にかけてはいけない。自分が「わかった」とか「言ってくれてありがとう」とかいうことは、心を込めて顔全体ではっきりと伝えなければいけない。


3.教育実習を終えた現在、教師の使命をいかに考えているか。
  教師を目指す者として、今後どのような点に努力すればよいと思うか。

教師の使命は、子どもを生かし、伸ばすことである。
しかし、学級の子どもが24人いれば、24人全員を生かし、伸ばさなければならない。
そのためには教師はあらゆる手を講じなければならないし、自らも自らを生かし、伸ばし、子どもと共に学び成長していこうという意欲がなければならない。
教師を目指す者として、これからさらに学び伸ばしていかなければならない点は山ほどあると思う。

 1つは、知識的なものである。
どのような教育実践があるのかを知ったり、理科や社会などの教科的な知識で今まで無知であったところを補充したり、新学習指導要領や変わりゆく学校についての展望を知ること。現在所持している中・高の「英語」の教員免許を生かそうと思ったら、「小学校で英語をいかに教えるか」についても勉強していかなければならないだろう。これらの点は、本や新聞、教育雑誌、インターネットなどを通じて、日々積極的に情報を取り入れ、学ばない日がないようにしたいと思う。

 もう一つは技能的なもの、身体的なものである。
特に、何をするにしても基本になることは健康であることと体力があることである。日常生活に気をつけると共に、体力向上のための体操や定期的な運動をおこなっていきたい。
また、それを実践するだけでなく、その必要性やメカニズムをしっかりと理解し、子どもに説明できるようになっておきたい。

 最後に、精神的なものも挙げられる。
自分のことをしっかりと考えられることはもちろんのこと、他人のことをしっかりと考えられるように、日々の人との交流を大事にし、相手の気持ちを考えた行動を身につけていきたい。それも、形式的にならず、いつも相手のことを尊重した自然な、はっきりとした態度で自己表現と心のキャッチボールが兼ねられるように気をつけたい。


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